商店街をデジタル実装 古き慣習を変革した「跡継ぎ」の先駆事例をことば化
外資系金融出身の後継が、苦悩し奮闘し忘れなかった「郷土愛」
愛媛県松山市の中心部には、アーケード街が連なる歴史ある商店街(大街道・銀天街)があります。長年街のシンボルとして賑わいの続いてきたアーケード街ですが、少子高齢化や商業の衰退など様々な理由から元気が失われ、活性化に向けた改革を模索してきました。
その中心的人物が、全国商店街振興組合連合会副理事長で、中心市街地活性化に励む株式会社「まちづくり松山」代表の加戸慎太郎さんです。
加戸さんは、商店街のデジタル化に着手し、AIカメラの導入による人流測定でデータに基づく販売促進戦略を各商店に提供したり、商店街独自のキャッシュレス決済「まちペイ」を開発し、それまでばらばらだった各アーケードを一つにし、売上向上に貢献してきました。
松山でのこうした取り組みは全国でも注目され、中心市街地活性化の先駆事例として視察が絶えない発展を遂げています。
しかし、そうした改革への道のりは決して簡単なものではありませんでした。
加戸さんは、地元銀天街商店街の創業75年の洋服屋の3代目。大学で上京し、新卒で外資系金融機関ゴールドマンサックスに入社し活躍しますが、父親の病気で実家を継ぐことになり松山に戻りました。
30代半ばで商店街の改革を任されますが、老舗や古くからの有力企業などが関わる歴史ある地域で、まだ誰も試みたことがない新たな取り組みを浸透させることは並大抵のことではありませんでした。
一体、加戸さんはどのようにしてこの商店街を活性化させたのか、実装のための「型」を導き出すため、そこに注いだ情熱とジレンマを「ことば化」しました。
「ことば化」実施内容(期間約1ヶ月半)
- 経営者のヒアリングによる「改革」の「ことば化」
- 客観的検証のための社員などへのヒアリング
- 経営者・関係者への活動密着による映像化
- 映像視聴による検証
- 地域創生担い手たちとの共有ワークショップ
映像制作
「古い慣習の打破」編
「ことば化」その後
加戸さんと同様、若くして商店街の改革を担うリーダーたちは全国に存在します。そのうちの一人が岡山市の表町商店街にて衣料品小売業を営む3代目、片山進平さん。「ことば化」の映像を見て、その想いに共感し、加戸さんの元を訪ねました。地域を超えた連帯が広がりつつあります。